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第72話  “静かに狩りを始める”

مؤلف: marimo
last update تاريخ النشر: 2026-03-16 20:21:26

九条ホールディングス本社。

最上階の大会議室には、異様な緊張が漂っていた。

取締役全員。

主要株主。

法務、内部監査、情報セキュリティ責任者。

玲司は、会議の中央席に座り、資料も見ずに静かに口を開いた。

「本日は、九条ホールディングスに対して行われた組織的な信用毀損行為について、事実確認と、対応方針を決定するための場です」

スクリーンが点灯する。

最初に映し出されたのは――音声データの解析結果だった。

「こちらは、外部に流出した“九条に不正献金を示唆する音声”です」

専門部署の責任者が説明を引き継ぐ。

「改ざんは、非常に高度です。単なる切り貼りではありません」

波形が拡大される。

「実際には別々の会話を、“母音の残響”と“呼吸音”を調整することで、

一続きの自然な会話に再構成しています」

取締役の一人が息を呑む。

「さらに、九条・献金・了承といった単語だけ、

人の聴覚が印象づけやすい周波数帯に寄せられている」

「聞いた人間が、“あったはずだ”と脳内で補完するよう誘導する構造です」

玲司が静かに言った。

「プロの仕事だ。個人ではない」

次に映されたのは、東亜リンクス商事の不正送金記録。
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